別れさせ屋に依頼をした私の結末
向かい合って話す私たちのそばに、次のバスが到着する。

急ぎ足でおりてくる生徒たちの波が去ってから、もう一度、美奈のほうを見ると、彼女は真っ赤な顔を両手で隠して、泣いていた。

「岡垣くん言ってた。……傷つけちゃったけど、心変わりするまではちゃんと美奈のことを好きだった、って」

別れて間もないのにすぐ告白をしてきたこと、私はすんなり受け入れられなかった。

美奈のことちゃんと好きだったのかとたずねたら、彼は美奈に対しての罪悪感を口にした。

「ちゃんと好きだったらしいよ。……だから、美奈は邪魔なんてしてない。岡垣くんとは両想いだったんだから」

“両想い”

その言葉が引き金になったのか、美奈は声を漏らして涙を流す。

リュックから出したポケットティッシュを手渡して、私は強く言い切る。「絶交なんてしないからね」と。

子供のように泣きじゃくる彼女が、何度も何度も謝ってくる。

「……っ。ティッシュ、私も使う」

これはもらい泣きなのか、それとも嬉し泣きなのか。

こちらこそごめんね。私もそう言いながら、同じように涙を流した。
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