別れさせ屋に依頼をした私の結末
「……えっと」

ここへ向かっていた間、たずねる言葉をいくつか用意していたのだが、いざ本人を前にすると、すんなりと声にできない。

うつむくと、彼はフッと笑みをこぼした。

「今日の分、しにきたの?」

「ちがう!」

からかうような言葉には、すぐに返せた。

でも再び沈黙が流れると、キングは穏やかに微笑んだ。

「マツヤマと仲直りしたんだろ? 一緒に帰ったんじゃなかったの?」

「……うん」

もしかすると、うちの教室の前を通り過ぎるとき、彼もこちらを見ていたのかもしれない。

「その報告か?」

たずねられ、“いっそ、そういうことにしてしまおうか”とも考えた。

けれど、自分のことは自分がいちばんわかっている。

きっと、私は、このことがはっきりしないと、いつまでもキングの行動を怪しむはずだから……。

「本当に動いてくれてるの?」

胸の奥のモヤモヤした気持ちを言葉にする。

問いかけると、キングは「なんだ、そんなこと?」とつぶやいた。

そして、息をついてから、

「動いてるよ、毎日」

私をまっすぐ見つめ、真剣に返してくる。
< 149 / 247 >

この作品をシェア

pagetop