別れさせ屋に依頼をした私の結末
「“ご利用ありがとうございました”」

彼は突然、定型文のような言葉を告げてくる。

「……あ、うん」

いきなりで戸惑ったけれど、依頼を取り下げたのだから、そう告げられるのは当然か。

私がうなずくと、彼はそばを離れ、さっきまでいたテーブル席へと戻っていく。

素っ気なさを感じ、思わず後をおってしまった。

「あのさ……、お昼はまた美奈と食べることになるからダメなんだけど、放課後とか……たまに来てもいい?」

このまま終わりたくない。

何か繋がりが欲しくて、今後の話を振ってみるが、キングは置きっぱなしにしていたカバンを持つと、そのまま私を置いて図書室を出ようとする。

「お、怒ってる? 急に取り下げたこと」

腕を掴んで引き止めた。

「振り回すようなことをして、ごめん」

彼の身になって考えてみれば、呆れる気持ちも理解できる。

謝ると、足を止めていた彼は、自分の腕から私の手を引き剥がし、口を開く。

「怒ってないけど、もう終わったんだし、これ以上関わる必要なんて……ないよね?」

リセットボタンを押されたかのような感覚。

表情は穏やかだが、返された言葉はとても冷たくて。数分前までの彼とは別人のように感じてしまう。

「そうなんだけど、でも……」

私は、終わらせたくないんだよ。

どんな繋がりでもいいから。好きになった今、このまま“さよなら”はしたくない。
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