別れさせ屋に依頼をした私の結末
引き剥がされても、再び、制服のそでを掴む。

面倒くさく思われるのだろう。わかってはいるけれど、帰られたくなかった。

服にシワがつくほど手に力を込めると、キングはフッと笑みをこぼす。

いつものように、呆れながらも微笑みかけてくれたのだと思い、期待して顔を上げると──

「チョロ過ぎて引くわ」

彼は微笑んでいなかった。

「キスされただけで好きになれるんだ? 簡単な女」

うんざりというかのように私の手を振り払い、服のシワをなおしてく。

「キング……」

浴びせられる言葉がキツすぎて戸惑ってしまう私に、彼はハァッと大きなため息をつく。

「そういや約束してたっけ? “終わったら、キスをアイツらに見せた理由とか話す”って」

それは、観覧車の中で聞いた言葉。

「水城ってしつこそうだから、ぜんぶ言ってやるよ」

キングは腰を曲げ、目線の高さを私に合わせると、意地悪そうに笑った。
< 153 / 247 >

この作品をシェア

pagetop