別れさせ屋に依頼をした私の結末
「そもそも、俺は依頼を受けたその翌日には、水城が誤解してるってわかってたんだよ」

「“誤解”……」

「マツヤマが浮気してるんじゃなくて、オカガキの気持ちが水城に向いてるってことな」

「そんな情報、どこから?」

「言わない。独自の情報網だから」

「……」

全部話すと言っておきながら、そこは言わないままなんだ……。

「そんで、水城がオカガキのことを好きだった話も耳に入ってた。だから聞いたんだよ、ターゲットは本当にそのふたりでいいのかって」

一体、誰なのだろう。そんなことまで知っていて、キングと関わりを持つ人なんて想像がつかない。

「でも、水城は言ったよな。マツヤマとオカガキが別れたとしても、オカガキと自分がどうにかなることは無いって」

「……言ったね」

「あのときの口ぶりからして、水城が守りたいのは現状の関係なんだってことがわかったけど、はっきり言って……それは不可能」

「“不可能”?」

「マツヤマとオカガキがダメになんのは時間の問題だったし、水城もまだオカガキに気持ちが残ってただろ。……あのままじゃ、お前ら3人はグダグダにこじれるってのが目に見えてた」

「……」

言われて想像する。

確かに、あのときの私が岡垣くんの本心に気づいていたら、揺れていたのかもしれない。
< 154 / 247 >

この作品をシェア

pagetop