別れさせ屋に依頼をした私の結末
「……そうかもね」

「ああ。オカガキへの気持ちがまた復活してただろうし、マツヤマとは絶縁まで行くように感じた」

「……うん」

その想像は間違ってはいないと思う。

あのときの私は、寺尾と仲良くする美奈に腹を立てていたし、美奈も私と岡垣くんに罪悪感を持っていた。

そんな状態で、私がまた岡垣くんを想い始めたら、きっと、美奈は昨日のように私たちから離れる選択をしていただろう。

「一応、依頼は受けたことだし、なんらかの形にして終わらせるつもりではいたから、それなら俺はお前ら3人がグダらないようにするかって考えてたんだけど」

“なんらかの形”

つまり、キングは最初から、美奈と寺尾をターゲットにしていなかったということか……。

「思ってるよりもマツヤマは追い込まれてて、話し合いをすすめてもこじれちまったよな」

「……」

話し合いと聞いて思い出す、コーヒーショップでの神経衰弱の話。

そして、泣いた私を励ましてくれたキングの姿。

「それで俺は予定を変更して、水城からオカガキへの気持ちを取っ払うことにした」

「っ、それって……」

ちょうどその日のことを振り返っている私は、次に言われる言葉を察してしまい、顔が引きつった。

けれど、キングは躊躇なく話を続ける。

「そう。それでキス」
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