別れさせ屋に依頼をした私の結末
……そんな。

「オカガキから告られたとき、水城が断れば、マツヤマとの絶縁はまぬがれると思ったから」

「……そんな理由なの?」

「“そんな理由”だよ。毎日刺激を与えれば、水城の意識は自然と俺に向くだろ。……毎回違うところにしたのは、慣れないため」

こんな話、聞きたくなかった。

だって私は、そのキスにドキドキして、キングのことが気になって……。

「あー、それとオカガキとマツヤマに見せた理由ね。あれはオカガキに告りづらくさせるためだな。水城の意識がこっちに向くまでの、ただの時間稼ぎ」

「……」

「あれでオカガキが水城を諦めたら、マツヤマともまた上手く行くんじゃねーかって、ワンチャン狙ったのもあるけど」

何を聞いても、ちゃんと頭に入ってこない。

毎日刺激を与えれば、とキングは言った。……つまり、毎日動いていたというのは、私へのキスってことなの?

キスは対価でもなく、目的達成へのただの手段だったってこと……?

“キスをするってことは、脈ナシではないってことなんだから! 多少なりとも、マチのことを“かわいいな”とか“好きだな”って思ってるはず!”

昼休みの美奈の言葉が頭に浮かぶ。

あのとき、キスはただの対価だとわかっていても、心の奥底では、そうだといいのになと思う気持ちがあった。
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