別れさせ屋に依頼をした私の結末
でも実際は……。

「まー、オカガキを遠ざけるつもりでつけたキスマークも、見つけたのはマツヤマのほうだったし。思い通りにいかないことも結構あったけど、水城は単純でよかったよ」

「っ……」

女の子として見られてもいなかった。

「告られても断ったんだよな? それを伝えて、マツヤマとも仲直り。えらいえらい」

呆然とする私の頭を、ポンポンと撫でる大きな手。

見つめるとキングは優しい表情で囁いてくる。

「おつかれ」

「……っ」

ニカッと歯を見せて微笑む顔が、胸をひどくえぐってくる。

「……んぶ」

「ん?」

「全部、嘘だったの?」

脈はないとわかっていても、受け入れたくなかった。

「言ってくれた言葉、全部……」

何かしらは本物だったと信じていたくて、すがるようにたずねたのだけれど。

キングは迷うことなく返してくる。

「俺、なんか言ったっけ? いちいち覚えてねぇよ」

「……っ」

キングにとって私はその程度の存在なのだと思い知らされる。
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