別れさせ屋に依頼をした私の結末
「ま、そういうことだから。さよーなら」

依頼を達成したら、あっさりと切り捨てられる。

「……っ」

悔しさにも似た悲しい気持ちが、口からこぼれそうになった。

でも、元はそういう関係だったのだから、ひどいとなげくのは間違っているはずで。

むしろ、この人のおかげで、私はまた美奈と友だちでいられるのだから……。

「キング」

うつむいていた私は、顔を上げた。

「本当にありがとう」

これが最後になるのなら、ちゃんと感謝はしておきたいし、嫌な態度も取りたくない。

しつこくすがられると予測していたのだろう。

私がすんなり引き下がると、彼は少し驚くような表情をした。

思いっきり口角を上げ、明るく笑ってみたけれど、唇は震えるし、そう長くは続かないと思う。

気を緩めれば、今にも涙が溢れそうだ。

「もうこんな時間。……帰るね」

ボロが出る前にキングの前から去ろう。そう思って、急いで彼の視界から外れる。

下唇をきつく噛んで、涙をこらえていた。

ここでは気を緩めちゃいけない、と自分に言い聞かせながら。

1秒でも早くここから出よう。そう思って、足早に歩く私。

だけど──
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