別れさせ屋に依頼をした私の結末
「これ、俺の優しさね。真剣な君にプレゼント」
そう言われながら見せられたのは、中央にハートマークがひとつあるA(エース)のカード。
彼はわかったと言いながら、それでもゲームを続けようとする。
わかってないじゃない、と落胆する私。
「だから、そういうことじゃ……」
不満を言おうとしたのだけれど、彼は追加する1枚をシャッフルしている中に混ぜてから、さえぎるように口を開く。
「そこまで言うならさ、真剣に引きなよ?」
「……え」
ワントーン低くなった声が、少し怖い。
場の空気が一瞬でピリッと張り詰めた気がした。
テーブルに横並びでカードを並べ始めた彼は、
「真剣に引いて、俺との縁をつかみ取ればいい」
最後の1枚を置いてから、私と目を合わす。