別れさせ屋に依頼をした私の結末

Card 19 ♦︎ キョウリョクシャ

──あれから2週間が経つけれど、行き場をなくしたこの気持ちは一向になくならない。


「こっからじゃ、何話してるのかわかんねぇな」

「あっちに行ってみる?」

「いやいや、これ以上近づいたらバレるって」

昼休みにご飯を食べ終えた私は、クラスの男子数名に混ざって、中庭へと繋がる階段の影に隠れていた。

「アイツ、怒られてね?」

「ブッ。めっちゃ焦ってんじゃん」

同じように隠れている男子たちが興味津々で眺めているのは、寺尾と美奈のふたり。

数分前、教室で私と一緒にご飯を食べていた美奈は、突然声をかけてきた寺尾に連れ出され、そばを離れたのだけれど。

その後すぐ、並木がひとりになった私の元にきて、自分たちと一緒に様子を見に行かないかと誘ってきた。

「水城は、松山がキレてる理由……知ってるの?」

他の男子たちからは少し離れて、私の隣にいた並木が聞いてくる。

「……うん」

この2週間で、美奈と寺尾はメッセージで話すようになっていて、たまに電話もしていたらしい。

でも、美奈は一昨日から機嫌を損ね、寺尾に対して冷たく当たるようになっていた。

「でも、もう怒ってないと思うよ」

男子たちの言う通り、ここからじゃ、ふたりの会話は聞き取れない。

表情もわからないし、微かに話し声が聞こえてくるだけだ。

それでも、わかる。今、美奈は、きっと嬉しいんだろうなって。

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