別れさせ屋に依頼をした私の結末
「オモロッ。動画まだ撮ってる?」

「あ、さっき切った。また撮るわ……」

「てかもう行く? 行こうぜ!」

そばにいた男子たちが、スマートフォンを使ってふたりの様子を撮影しながら、甘い雰囲気を壊しにいく。

「うえーい」と叫びながら押しかけてきた彼らに驚き、ふたりは慌てて抱きしめ合うのをやめた。

遅れて後に続いていた私は、恥ずかしがりながらも幸せそうにする美奈が嬉しかった。

「いいなぁ。私も恋したい」

好きな人と結ばれた彼女が羨ましくて、ぽつりと口からこぼれた言葉。

ただの独り言だった。

なのに、

「キングはもういいの?」

隣にいた並木が、私の心境をうかがってくる。

「……え?」

奇妙な問いかけに、思わず足を止めてしまった。

私が立ち止まっても、並木はそのまま皆の元へと歩いていく。

「え、待って……。え? なんで……」

引き止めても、振り返る並木は無表情。でも数秒後、彼は歯を見せてニカッと微笑んだ。
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