別れさせ屋に依頼をした私の結末
「彼のこと、知ってるの?」

キング、と言った並木。

失恋したことは美奈に話したけれど、私は彼女にその名前を教えてはいない。

どうして、この人の口からその名前が出てくるのだろう。

問いかけると、並木は美奈たちのほうをチラッと確認してから、唇を開く。

「知ってるよ。……水城が依頼したことも、そのターゲットがアイツらだったってことも」

「……っ!?」

「あー、安心して。言ってないから、誰にも」

小声で答えた彼は、私が驚くと、慌てて唇の前で人差し指を立てた。

「……誰から聞いたの?」

他にも依頼したことを知ってる人がいるのかもしれない。そう考え、焦っていると、

「キング本人から」

並木はもう一度、その名前を口にする。

頭は混乱しているが、ひとつだけ、ずっとわからなかった問題が解けていく。

もしかして、並木が情報を流していたの?

心の中でそうつぶやくと、美奈たちから距離をとるためか、並木は来た道を戻って、再び階段に腰を下ろした。
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