別れさせ屋に依頼をした私の結末
「まー、焦ったよね。自分の友だちがターゲットになってるし、依頼主は友だちの好きな人の友だち……って、結構カオスじゃん」

「……ご、ごめん」

「や、俺もごめん。焦って、キングにストップかけたりしたからさ」

「ストップ?」

「うん。“水城は誤解してるだけだから、ターゲットにするのはやめてほしい”って頼んだの」

「……あ、それで……」

「そう。それで、水城にああ言ったんだよね」

言われて思い出すのは、テスト期間の最終日。

“水城さ、誤解してると思う”

あのときの並木は、別れさせ屋への依頼を取り下げさせようとしてたのか……。

「……そうだったんだ」

全てが繋がる。

キングがなかなか動いてくれなくてイライラしたけれど、それは並木がストップをかけていたから……。

ボーリング場にいることも、遊園地へ行くことも、きっと並木から聞いていたのだろう。

「……ずっと不思議だったから、聞いてスッキリした」

何もかも知られていて複雑な気持ちにはなるけれど、謎が解けてよかった。

小さく息をつくと、並木は私の顔色をうかがってくる。

「キングといい感じだったんでしょ?」

「え、全然だよ」

キングから何を聞いたのだろう。私たちは全然そんな感じではなかった。

首を横に振りながら思い出していた。最後に話したあの日のキングの言葉を。
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