別れさせ屋に依頼をした私の結末
「……キングのことはもういいの？」

赤面する顔を見せたくなくて顔を伏せていると、並木は座った体勢のまま、立っている私の顔を覗きこんでくる。

もう一度、いいのかと聞かれたことで、恥ずかしさは徐々に和らいだ。

「彼とは、そういう関係じゃないから」

多分、並木はキングから何も聞いていないのだろう。

あの場を見て、その後にキングが言った“いい感じ”という言葉を信じ込んでいるだけだと思う。

「ケンカでもしたの？」

「……そういうわけじゃ」

「まー、いつ学校にいるのかわかんない人だから、仲直りするのも難しいのかもしれないけど。……まだ好きなら連絡してみたら？」

完全にいい感じだったのだと勘違いされている。

私がさっき“恋をしたい”と言ったから、キングと不仲になったと思ったのだろう。

そんな関係じゃないのに。ただ依頼が終わって、繋がりがなくなっただけなのに。

「連絡先、ＤＭしか知らないんだけど。俺でよければ、代わりに言ってあげようか？」

かけられる言葉から、並木はキングの正体までは知らないのだなと察することが出来た。

「……本当に、そんな関係じゃないの。あのときもイチャイチャしてたわけじゃないし」

この話を続けるのはしんどい。

ひとりでのぼせ上がっていた自分を思い出すと、情けなくなるから。
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