別れさせ屋に依頼をした私の結末
キングの話はこのくらいで終わらせようと思っていた。

けれど、私の返事に満足出来なかったのか、並木はスマートフォンを出して、校舎の窓や辺りをキョロキョロと見回している。

「あの人の話をすること自体、ルール違反なんだけどさ。……これも絶対に言わないでね」

そう言われて見せられたのは、SNSのDM画面。宛先は“K”──キングのアカウントだった。

「……これ」

「それね、最後にとった連絡なんだけど。“依頼が終わったからもう情報を送らなくていいよ”って言われた後、ここ。……読んでみて」

指で画面をスクロールさせ、キングとのやり取りをザッと流していた彼は、その先にあるやり取りを私に見せてくる。

【それと、水城のことも少しだけ頼んでいいかな】

自分の名前が入ったキングの文面に、ドクンと胸が波を打つ。

【水城のこと?】

並木の返事に、彼は──

【ひどいことを言って傷つけたから、あの子が落ち込んでたら元気づけてやって】

詳しくは言わず、簡単な言葉で返していた。

「……」

日付を見ると、このやり取りは2週間前のもの。記憶が正しければ、依頼を終えた日の夜に送ったものだと思う。
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