別れさせ屋に依頼をした私の結末
「……“協力”」

並木の言葉に衝撃を受けた。

ないと思っていた、キングとの接点。だけど、そんな形でも関わることができるのなら……。

胸の奥がじんわりと熱くなる。

抑えていた感情が、再びうずき始めて──


「いたいた! ……こっちにいたよー!」

突然、聞き慣れた声が私たちの空間を破った。

振り向くと同時に、美奈は私の腕をぎゅっと掴んでくる。

「ちょっと、並木! 彼女いるくせに、マチにちょっかい出さないでよ!」

「出してねぇって!」

「本当に!? マチ、口説かれてない!? コイツ、他校に彼女いるからね!!」

ふたりでいたことを怪しんでいるのか、美奈は私を守るような体勢をとって、並木に突っかかる。

彼女が声をかけたことで、後から寺尾とクラスメイトの男子たちもここへと押しかけてきて。

静かだった空間は一瞬で賑やかになった。

「ホントだって! なぁ水城、俺、口説いてないよね!?」

「うん、口説かれてないよ」

並木の誤解を解いていると、美奈は彼の手元を指でさす。

「じゃあなんで、スマホまで出してんのよ!」

「違っ、これはさ……!」
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