別れさせ屋に依頼をした私の結末
気に入らない返事だったのだろう。

キングはひじをつくのをやめ、ふてぶてしい態度で見つめ返してきた。

「男を知らない女って怖ぇな。……ちょっと優しくしただけで、しつこく付きまとってくる」

刺々しい言葉で心をえぐられる。

けれど、私は、こういう風に言われることも想定して、ここへやってきたから……。

「そう、私って怖いの。ちょっと優しくされただけなのに、しつこく付きまとってて……」

言ってて、自分でも痛いヤツだなって呆れてしまう。

こんなことをしたって、好きになってもらえないのに。嫌われるだけだってわかってるのに。

「でも、ずっと考えてるの……キングのこと」

厳しい目つきで睨まれると、心が折れそうになる。ここへ来たことも後悔してしまいそうで。

……でもね。

「……好きに、なっちゃったから」

なんで言ってしまったのだろう。ここまで言うつもりなんてなかったのに。

言えば振られてしまうとわかっていたはずだ。

だけど、シラケた表情をされ続けると、どんどん追い込まれていって。

あらかじめ用意していた言葉は、もう、口に出来なくなっていた。
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