別れさせ屋に依頼をした私の結末
「……」

好きと伝えても、キングの表情は変わらない。

冷ややかな目で見つめられるだけで、何も返してもらえない。

一方的に想うのは、やっぱりむなしいや。

それでもいいと決意したはずなのに、それだけじゃ嫌という気持ちが一気に溢れ出す。

「ごめ……」

強気に見つめ返すこともできなくなった私は、たまらず顔を伏せてしまった。

長い長い沈黙。

本を借りに来た子たちは、もう図書室から出ているのだろう。

室内はしんと静まり返っていて、もしかすると、委員の子たちもいなくなっているのかもしれない。

何も言葉が浮かばなくて、重い空気の中、うつむき続けていると、冷ややかに私を見つめていた彼が小さくため息をついた。

キングは、隣の椅子の背もたれに引っ掛けていたカバンをテーブルに置き、中に手を入れる。

そっとその様子を眺めていた。

彼がカバンから出したのは、見覚えのあるトランプ。表柄が赤いものの方だった。
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