別れさせ屋に依頼をした私の結末
あの時と同じように、扇子みたいに広げてから数枚を抜きとる彼。

軽くシャッフルした後、数字を伏せた状態で、1枚ずつテーブルに置いていく。

テーブルに、横並びで置かれた6枚のカード。

黙って眺めていた私に、彼は言う。

「引いてみな」

あの日と同じように気だるい態度で。

「……ババ抜き?」

「ああ。ジョーカー引いたら諦めて」

人生で初めての告白も、ゲーム感覚であしらわれるなんて。

どうしてこんな人を好きになったのだろう。

扱いのひどさに落胆してしまう。

でも、これをチャンスだと思い、喜んでいる自分もいて。

「私の運のよさ、知ってるよね?」

強気に笑ってみると、キングも穏やかな笑顔を見せてくる。

「知ってるよ。当てようとしたら外すってこともね」

返されるのは、やっぱり冷めた声。

「っ……」

そうまでして突き放したいのか、と胸の奥が苦しくなる。

私はぎゅっと目を閉じて、呼吸を整えた。

当てようなんて思っちゃいけない。そう心の中で唱えるけれど、唱えれば唱えるほど、外してしまうイメージがわいてきて。
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