別れさせ屋に依頼をした私の結末
なかなか集中出来ずにいた私の心の声は、いつしか、自分にではなく、神様に向けたものになっていた。

──お願いです。今だけは外したくないんです。この先の運、全て使ってもいいです。

祈るようにして唱えた後、そっとまぶたを開く。

そうして、最初に目についた1枚を伏せたまま、キングの方へ寄せた。

彼は黙ったままそれを受け取り、静かに裏を確認する。

「……」

「……何だった?」

表情からは何も読み取れなくて、しびれを切らし問いかけると、彼は手にしているカードをそっとテーブルに置いた。

「……これ」

確認した私は目を丸くする。

引いたのは、あの時と同じハートのAだった。

こんな偶然があるのかと驚きつつも、ジョーカーを引かなかったことにホッとしていたら、彼は置いたままの5枚をまとめ、私のそばに置き直した。

「……何」

「見てみ」

言われて、それらも手にした私は、

「…………え」

裏を見て絶句する。
< 180 / 247 >

この作品をシェア

pagetop