別れさせ屋に依頼をした私の結末
久しぶりに見た、優しい表情。

じっくり見たいのに、溢れてくる涙が邪魔をする。

「っ、はっきり言ってくんなきゃ……わかんないよ」

頬が濡れた。

鼻水をすすると、キングはやれやれというかのようにひじをついて、立ったまま泣きじゃくる私を面白がるように見上げてくる。

「“混ぜなくてもいいのに混ぜた”……今の俺が言えんのは、ここまでだよ」

笑っているくせに、そう囁く声はとても穏やかで、ずっと聴いていたいほど心地よい。

「……っ。それだけじゃわかんないってば」

私って本当にチョロいのかも。

はっきりしたことなんて何ひとつ言われていないのに、今日が最後じゃないってだけで、幸せを噛みしめてしまうなんて。

「水城って、ホントよく泣くね」

「……っ、笑わないで」

あれだけ冷たかった彼の、飄々とした態度。

ムカつくけれど、私、この笑顔が好きだ。





別れさせ屋に依頼をした私の結末
【完】

別れさせ屋の仲間になった私の結末
へ続きます。
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