別れさせ屋に依頼をした私の結末

 ♡ ♤ ♢ ♧


代表委員会が終わると同時に、離れた席にいたF組のアヤちゃんが駆け寄ってくる。

「美奈ちゃん聞いてっ! 田沼から告白されたの!」

「ええっ!? やったじゃーん!!」

両手を合わせて、ふたりでぴょんぴょん飛び跳ねる。

D組学級代表の私──松山美奈(マツヤマミナ)は、委員会の時間、アヤちゃんと一緒にいることが多い。

ふたりとも代表をするのが初めてということもあって、最初から気が合ったし、好きな人の話もできる関係だから、最近は休みの日も、一緒に服を買いに行ったりすることがある。

「美奈ちゃんのおかげだよ~。いっぱいアドバイスしてもらったし! 恋の先輩だからね、美奈ちゃんは!」

「あんなのアドバイスじゃないよ~! わぁ、本当に嬉しいっ! おめでとう、アヤちゃん」

「ありがとう!!」

好きな人から告白されたアヤちゃんは、とっても幸せそう。

満面の笑みで喜ぶ姿を見ていたら、自分のときを思い出してしまった。私はこんなふうに全力で喜べていたのかな、と。

「……」

できていなかったと思う。

“あのドラマと同じように、てっぺんでキスしてくれてね!”

自分たちは両想いだったのだと周囲にアピールすることで、胸に広がる罪悪感と取っ払おうとしていたから。
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