別れさせ屋に依頼をした私の結末
マチとふたりで帰る、駅までの道。

「岡垣くん、無理してないといいね」

信号待ちになって立ち止まると、マチはサラッとそういうことを口にする。

「……。うん」

どういうつもりで言ってるんだろう。

友だちの彼氏なのに、そこまで心配とかするものなのかな。

……わかってる。私たちが付き合う前から、大樹とマチは友だちなんだから、心配してもおかしくないってことは。

だけど……。

「──マチってさ」

疑う気持ちが大きくなって、思わず聞いてしまいそうになる。好きな人はいないの、と。

だけど、

「……」

言いかけて、やめた。

「ん?」

「……ううん。ごめん。何でもない」

聞けるわけない。

「え、何。気になるよっ」

「……ごめん。言おうとしたこと忘れちゃったの」

「あはっ。何か考え事でもしてたの?」

「……うん。思い出したら言うね」

変に思われないよう、テキトーなウソでごまかした。

……聞けるわけないじゃん。マチは大樹が好きだったんだから。

“岡垣くんだよ”と返されてしまったら、困るのは私だ。
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