別れさせ屋に依頼をした私の結末
帰宅し、夜を待って大樹にメッセージを入れた。

【部活は大丈夫だった? 放課後、態度悪くてごめんね】

何度も書いては消してを繰り返した一文。

送信すると、すぐに既読の印がつく。

【大丈夫だったよ。俺こそごめんね】

間を置くこともなく返ってきた。

険悪にならなくて安心したけれど、この返事をすんなり受け取れない自分がいる。

「……怒ってた理由、わかってないくせに」

大樹はいつもこう。

私が機嫌を損ねると、必ずと言っていいほど、すぐに謝る。なんで怒ってるのか聞かれたことがない。

いつも私の顔色をうかがってる。気まずさを感じ取ると、その空気を変えるために「ごめん」と口にする。

【無理はしないでね】

放課後にマチがかけていた言葉を、おやすみのスタンプと一緒に送ってみた。

今更、彼女の真似をしたって、大樹の私を見る目は変わらないはずなのに。

【ありがとう。おやすみ!】

すぐに届いた、今日最後のメッセージ。

指でスマートフォンの画面を動かし、最近のメッセージを振り返る私は、そのやり取りの少なさにため息をついた。

私たちはいつからこんなふうになったのかな。

仲は悪くないはず。ケンカもしないし、デートの回数だって減ってない。はたから見れば、順風満帆なカップルだ。

でも、今幸せなのかと聞かれると、うなずけない。それは、きっと、大樹も同じだろう。
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