別れさせ屋に依頼をした私の結末
眉間にしわを寄せ、ひどくショックを受けているような顔。

どうかしたの? そうたずねる前に、大樹の唇が動く。

「水城、彼氏出来たの?」

大樹は、一切、私の手元を見ていない。この写真を見れば、縁日に来るのはマチじゃないってわかったはずなのに。

「……マチじゃないよ。アヤちゃん」

スマートフォンを突き出すと、大樹はディスプレイを見て、「ああ、なんだ」とつぶやく。

胸を撫で下ろすようなその表情に、苛立ちがつのる。

「F組の代表やってる子だっけ?」

「……うん」

「明後日はそのふたりと?」

「……。うん」

平静を取り戻した大樹は、再びパンケーキを頬張る。

何も無かったかのように振る舞うのが許せなかった。

「大樹……」

あの表情をなかったことにするつもり?

見なかったふりなんてできないよ、私は。

「マチに彼氏が出来たら嫌なの?」

後先を考える余裕もなく、その質問が口からこぼれた。

「……え?」

聞き返されると、余計に腹が立つ。

「え、ってさ……」

とぼけて、ごまかすの?

それともまだ気付けてない? 自分の気持ちに。
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