別れさせ屋に依頼をした私の結末
「さっきの反応……」

なんで、あんな顔を私に見せたの?

ショックだったとしても、彼女である私の前ではちゃんと隠してほしかった。

「マチに彼氏ができるのが嫌そうだった」

我慢できなくて、思ったまま口にする。

その言葉の重さに気づいたのは、大樹があからさまな反応を見せたときだった。

「何言って……」

最初は笑みを浮かべていたんだ。私の不満を軽く聞き流そうとしていたはず。

でも、途中で自分の気持ちを見つめ直したのかな。急に真顔になった。

「え……、俺……」

そうぽつりと言ってから言葉を詰まらせた。

その後は、もうずっと黙っているけれど、何度もまばたきをして、目も泳いでいる。

動揺を隠せていない彼を見た瞬間、私は自分の発言を後悔した。やってしまった、と心の中でつぶやいて。

「……っ、帰る。これ、私の分」

この後の展開を想像するとこわくなって、急いでお金を出し、逃げるように席を立った。

「あ……、美奈っ」

大樹は、帰られることに慌てていたけれど、私が店を出ても後を追ってはこなかった。
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