別れさせ屋に依頼をした私の結末

その夜、大樹から届いたメッセージは、たったの3文字。

【ごめん】

これだけじゃ、何に対しての言葉なのかもわからない。

怒らせたことを謝ってるの? それとも……。

悪い想像ばかりが頭に浮かび、返信なんてできなかった。

私も同じように謝れば、きっと仲直りはできる。でも、それじゃ何も解決しない。

多分、私たちはもう元に戻れない。

「……っ、別れたくない」

下手に動けば、別れを告げられてしまうかもしれない。

アヤちゃんには急用ができたことにして、縁日をキャンセルした。

当日、大樹からも電話があったけれど、それには出ないで、メッセージで【行けなくなった】とだけ送った。

それからはずっと忙しいふりをして、メッセージも、電話も、デートも避けた夏休み。

スマートフォンが鳴るたび、怖かった。「別れたい」と言われやしないか、ビクビクしながら毎日を過ごしていた。

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