別れさせ屋に依頼をした私の結末
“好きじゃなきゃ一緒にはいないと思うよ、彼氏さんも”

続けてそう言われたけれど、私の脳裏にはファミレスで見た大樹の姿が浮かんでいる。

返す言葉が見つからず、黙り込んでいると、並木は頭をポリポリかいた。

“それと、もしかしたらさ……水城も、俺らのこと……勘違いしてるかも”

“勘違い?”

首を傾げると、並木はまばたきの回数を増やし、口を開いたまま言葉を探し始める。

“例えばだけど……、例えばの話ね。寺尾が松山のことを、彼氏さんから奪おうとしてるんじゃないかって……疑ってるかもじゃん”

“はぁ!?”

並木の発想に驚いたのか、寺尾は大きな声で否定しようとする。

“例えばの話だって! 何、赤くなってんだよ”

“……っ、赤くなってねぇわ”

悪者にされたのが気に食わなかったのかな。

並木が落ち着かせても、寺尾はブスッとした表情でそっぽを向く。

“1回さ、松山は彼氏さんや水城と、ちゃんと話した方がいいと思う。……あと、俺らも水城に誤解されてるかもだから、話す機会がほしいんだよね”

“……そうなのかな”

並木はそう言うけれど、マチはただ男子が苦手なだけだと思う。

素直にうなずけずにいると、並木は身を乗り出して再度言ってくる。今日4人で遊ぼう、と。

“ちょっ、なんで顔を近づけてんだよ! 松山から離れろ!”

寺尾は、熱くなる並木をうっとうしがっていたけれど。
< 205 / 247 >

この作品をシェア

pagetop