別れさせ屋に依頼をした私の結末
──そんなわけで、今日はマチだけじゃなく、寺尾と並木も、私が教室に戻るのを待っているはずなんだけど。

マチにはまだ言えていない。職員室へ行く前に誘っちゃうと、多分、理由をつけて帰ってしまう気がしたから。

帰る直前になって、寺尾たちをそばに呼んでから誘えば、断りづらくなるかなと考え、戻ったら誘うつもりでいる。

マチからすれば迷惑に感じるのかもしれないけれど、今の彼女はクラスで話せる相手は私を入れて5人いるかどうかだし。

寺尾と仲良くなれば、きっと友だちも増えるはずだから……。


「おかえりー」

「ただいま!」

教室の前に着くと、他のクラスの男子と話していた寺尾がそばにくる。

マチは教室にいるのかな。そう思って、中を覗こうとした瞬間、

「水城!」

マチの名前を呼ぶ並木の声がして、その後すぐ、不機嫌そうな彼女が教室から飛び出してきた。

並木から、この後のことを聞いてしまったのかな。

「あ、マチ! 今日さ……」

帰ろうとしているみたいだから、慌てて声をかけた。

すると彼女は、

「行かない」

表情をかたくして、私の言葉を待たずに断ってくる。
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