別れさせ屋に依頼をした私の結末
でも、そうだね……。

言われてみると、大樹にとっては不快に思う行動だったのかも。

逆の立場だったら、私は不安になっていたと思う。距離を置かれた状態で、クラスの女子と仲良くされていたら……。

そんなことにも気づけないくらい、自分のことばかり考えていた私。自分だけがつらい立場にいると思ってた。


「……じゃあ、俺ら電車だから」

「うん。また明日」

駅前に着いて、一緒に帰っていた寺尾たちから離れる。

明日からはもう、寺尾たちと仲良くするのはやめよう。そう考えながら、バス停へと歩いていたのだけれど……。

「松山!」

背後からの走ってくる足音に気づくと同時に、突然、手首を掴まれた。

振り返ると、後を追ってきた寺尾は、ニッと歯を見せて、明るく微笑んでくる。

「せっかく早く終わったんだしさ! そこで体動かしてから、帰ろーぜ!」

指をさしていたほうへ目を向けると、アミューズメント施設のビルがあった。

「あ、でも……」

これ以上、寺尾たちといるのはよくない。

そう思い、掴まれた手も引こうとしたが、寺尾は力を込めて食い止めてくる。
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