別れさせ屋に依頼をした私の結末
「ね、言ったでしょ? マチって本当にガチャ運が強いんだよ~。一緒にやってたゲームでも、無料で遊んでいたのに、ガチャで当たりすぎて重課金者みたいな強さになってたんだから!」
美奈はこれまでの話をしながら、私がスマートフォンを受け取るのを待っている。
「いや~、ビビッたわ。一発で虹が出たし! 水城さん、俺のガチャも回してー! 貯めてきたダイヤ、全部使っていいから!」
断らないと思っているのだろう。クラスでも中心的な存在でお調子者の寺尾は、ワクワクした表情で話しかけてくる。
「……トイレ」
回したくない。そう思って、私は差し出されたスマートフォンを手にすることもないまま、自分の席を離れた。
3名から遠ざかる中で振り返ったのは、さっき美奈が言った言葉。
“ 昨日マチを待ってる間、寺尾たちと遊んでたんだよね~!”
「……」
つまり、昨日の放課後──私が図書室にいる間、美奈は寺尾と一緒だったってことか。
別々に帰ろうと言っておいたのに、帰らずに何通もメッセージを送ってきたのは、寺尾がいて時間を潰せる状態だったからで。
「……っ」
美奈はどうしてこうなってしまったのか。
浮ついた行動にイライラしてしまう。