別れさせ屋に依頼をした私の結末
その後、私たち3人は、アミューズメント施設の4階でボーリングをしていた。

勢いのあるボールで、沢山のピンが炭酸の泡のように弾ける。

「うっわー、またかよ!」

「ぶっ。スプリットの天才じゃん」

レーンの最奥で、離れて残った2本のピン。

並木は私の隣で、1つ前のプレイでも同じ残し方をしていた寺尾を面白がっている。

ふてくされながら、戻ってきたボールを再び手にした寺尾は、私を向かって指をさす。

「これ2本とも倒したら、なんかしてくれる?」

「……え」

急な要求に驚いていると、彼は返事を待たずに言う。

「ウインクして可愛く笑ってね」

「っ、はぁ!? 私、そんなキャラじゃないんだけど!」

変な約束を押し付けられて、思わず席を立つと、寺尾はもう走り出していて……。

ガコッ

投げたボールは早々に、レーンの溝へと落ちた。

「カッコつけといてガターかよ!」

ブーッと吹き出して爆笑する並木。

立ったまま見ていた私も、しょぼくれた寺尾が面白くて、プッと笑みをこぼす。
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