別れさせ屋に依頼をした私の結末
「来て、よかっただろ?」

並木と交代して隣に腰を下ろした寺尾は、炭酸ジュースでのどのかわきを潤わせた後、笑いかけてきた。

「……うん。でも、明日以降は……寺尾たちから離れるね」

「なんで?」

「……よくないことだと思うし」

マチからもああ言われたのに、それでも一緒になんて、できない。

「水城が言ったこと、気にしてんの?」

「……うん」

うなずくと、寺尾は大きなため息をつく。

「気にしなくていいじゃん。別にやましいことなんてないんだし、向こうが勝手に深読みしてるだけなんだから」

寺尾は私にそう言った後、上手にスペアをとった並木に「ナイス」と声をかけにいく。

「……そうなんだけど」

だからといって、気にしないわけにもいかない。

並木の次は、私が投げる番。

入れ替わりに立ち上がろうとすると、モニターがあるテーブルにもたれた並木が、私に向かって口を開く。

「異性の友だちって難しいよね。何もなくても怪しく見えたりするし」

「彼女さんから疑われたりするの?」

「いや、俺は疑われてない。疑う側だから、向こうは不安になることもないんじゃないかな」

「お前、彼女にベタ惚れだもんな」

並木は寺尾の言葉に情けなく笑うと、「可愛いから」とのろける。
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