別れさせ屋に依頼をした私の結末
「だからね、マチは悪くないの」

何も悪くない、マチは。

「大樹とマチがふたりでいると、いつも思う。“本当はこうなるべきなのに”って……」

付き合うまでは、罪悪感なんて抱いていなかった。嘘をつき通すことで必死だったから。

でも、付き合ったその瞬間から、悪いことをした実感が、大きく大きく、ふくらんでいった。

「……さっき、マチは大樹の心配をしてた」

思い知らされる、自分と彼女の違いを。

「私、マチに言われるまで、寺尾たちといて大樹にどう思われるかなんて……全く考えてなかったの」

そういうところなんだと思う。

いつまでも、マチに負けているのは。

「……私なんかより全然彼女らしいじゃん。私はいつも自分のことばっかりで、大樹の心配してるのはマチのほうなの」

時間を戻せるのなら、いちからやり直したい。

嘘なんかつかず、まっすぐ恋をしたかった。

「松山……」

私の泣き顔に動揺する寺尾。

私、何やってるんだろう。

こんなところで遊んで、寺尾たちの前で泣いたりして。

マチだったら、きっと、こんなふうにはなっていない。
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