別れさせ屋に依頼をした私の結末
「ぼっちにでもなるつもりかよ?」
呆れた顔で見つめられる。
言い返せなくてうつむくと、寺尾は足元に置いてある私のお弁当の袋をとって、食えと言わんばかりに持たせてきた。
「あ、水城のことは気にしなくてもいいぜ。教室を出る前、北村に頼んどいたから。水城のこと昼飯に誘ってやって、って」
「キタムーに?」
「ああ。めっちゃ聞かれたけど。“えっ、なんでなんで~、美奈ちゃんとケンカでもしたのかな~?”って」
「……」
寺尾は他人(ひと)のことをよく見てるんだな。
マチが話す女子なんて、私以外では数えるほどしかいないのに、それが誰なのかまでちゃんと把握してるなんて。
「“わかった! 任せてっ! 美奈ちゃんのことも心配だなぁ~”」
「……キタムーに怒られるよ?」
キタムーの声質が高いところと、ゆっくり話すところを真似したつもりなんだろうけれど、誇張(こちょう)しすぎてひどい有様。
「え、似てない?」
「全然似てないよ」
「“美奈ちゃんのことも心配だなぁ~”」
「もういいって」
やめさせると、寺尾はニッと笑いかけてくる。
「だから、松山は俺らと食おうぜ」
ポンッと頭に置かれた手。
陽気な笑顔を前にすると、これ以上同じことを言ったって通じないんだろうなと悟った。
「……うん」
まただ。毎回上手く言いくるめられ、結局、私は寺尾たちに甘えてしまうんだ。
呆れた顔で見つめられる。
言い返せなくてうつむくと、寺尾は足元に置いてある私のお弁当の袋をとって、食えと言わんばかりに持たせてきた。
「あ、水城のことは気にしなくてもいいぜ。教室を出る前、北村に頼んどいたから。水城のこと昼飯に誘ってやって、って」
「キタムーに?」
「ああ。めっちゃ聞かれたけど。“えっ、なんでなんで~、美奈ちゃんとケンカでもしたのかな~?”って」
「……」
寺尾は他人(ひと)のことをよく見てるんだな。
マチが話す女子なんて、私以外では数えるほどしかいないのに、それが誰なのかまでちゃんと把握してるなんて。
「“わかった! 任せてっ! 美奈ちゃんのことも心配だなぁ~”」
「……キタムーに怒られるよ?」
キタムーの声質が高いところと、ゆっくり話すところを真似したつもりなんだろうけれど、誇張(こちょう)しすぎてひどい有様。
「え、似てない?」
「全然似てないよ」
「“美奈ちゃんのことも心配だなぁ~”」
「もういいって」
やめさせると、寺尾はニッと笑いかけてくる。
「だから、松山は俺らと食おうぜ」
ポンッと頭に置かれた手。
陽気な笑顔を前にすると、これ以上同じことを言ったって通じないんだろうなと悟った。
「……うん」
まただ。毎回上手く言いくるめられ、結局、私は寺尾たちに甘えてしまうんだ。