別れさせ屋に依頼をした私の結末
しばらくすると、並木もこの屋上に訪れた。

「下でタッツンと会ったんだけどさ。横川、彼女と別れたんだってさ」

そばに来るなり、耳にしたばかりの話を寺尾に伝えている。

「……あ、女子トイレでもその話してる子いたわ」

横川は他のクラスの男子だけど、同学年の生徒なら知らない人はいないと思うほどの有名人。

見た目は男性アイドルのように華やかで、廊下ですれ違うときはうるさいと思ってしまうほど、いつも大勢で騒いでいる。

寺尾とも仲が良く、何度か一緒にいるところを見かけたことがあった。

「誰かが別れさせ屋に依頼したんじゃないか、って話してるの聞いた」

女子トイレで耳にしたことを口にすると、寺尾はプッと笑みをこぼす。

「女子ってさぁ、その手の話が好きだよなー。別れさせ屋なんているわけねぇじゃん」

どうやら、寺尾も私と同じで、別れさせ屋を信じていないようだった。

「私、女子だけど信じてないな」

「だよな、俺も信じてない。並木は?」

寺尾が話を振ると、並木は「うーん」と苦笑いを浮かべた。

その反応を見た私たちは顔を見合わす。

「うわ、信者がいた」

「並木、信じてたんだ?」

面白がると、並木は気まずそうにしながら「別に」と顔を背ける。

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