別れさせ屋に依頼をした私の結末
その様子をひとしきり笑ってから、私はトイレの鏡の前でも思っていたことを口にする。

「でも、本当にいるんだったら、依頼したいかも」

逃げてばかりの自分には、もううんざり。

鏡に映った自分は、ものすごく醜く見えた。

「……ターゲットは、岡垣と水城?」

並木に聞かれ、私は首を横に振る。

「大樹と私」

あのファミレスの日からずっと考えていた。もうダメなんだろうな、って。

ポニーテールをほめていた頃からは、何度も、別れを切り出そうとしてきた。

でも、言い出せなかった。

どこかで期待してたんだ、素っ気なくすれば追いかけてくれるんじゃないかって。

「ほら、100パーらしいじゃん? 成功率。……そこまで確実に別れさせられるんだったら、未練あっても諦められそうかなって」

気まずくても、彼女というポジションを手放したくない自分がいた。

ふたりのことを考えて、別れるべきだと思っても、別れたくないって気持ちが邪魔をする。

私はどこまでも醜くて、ズルい……。

笑いながら話していたけれど、ちゃんと笑えていないことに気づいて、顔を伏せた。

すると、黙って聞いていた寺尾が口を開く。
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