別れさせ屋に依頼をした私の結末

Side 01 ♤ マツヤマミナ ⑤

──高校1年の春。

“美奈って話しやすいね”

“同じクラスになれて良かった”

人見知りが激しいマチからそう言われたとき、特別な存在だと思われている気がして、すごく浮かれたんだ。

自分でも、人付き合いは上手なほうなのだと思っていたところがある。

マチが、私を通して友だちを増やしていくことも嬉しかった。

けれど、夏頃には人見知りをする彼女を「ずるい」と思うこともあった。

“水城さんって話してみるとすっごくいい子!”

“ねー! 結構ノリもいいし!”

付き合いづらいと思われていたマチが、気さくな一面を見せると、周りは一気に彼女を好きになる。

ギャップというものを味方につけて、どんどん友だちを増やすマチ。

周りの子たちが仲良くなったことを喜んでいると、なんだか、最初から愛想よく振る舞っていた自分を、損な立場だと思うようになった。

そして、秋頃は──

“なんで私には聞かないで、マチにばかり質問するの?”

“聞いたってわかんないって言うだろ。美奈は俺と同じ頭なんだから”

大樹と電話をする関係になって、距離がどんどん縮まっても、

“水城、わかる? この問題なんだけど……”

大樹のマチへの態度が、ずっと気になってた。

距離が近いのは自分のほうなのに、不安。

私は名前で呼ばれていて、マチは苗字で呼ばれているのに、どうしてこんなに嫌な気持ちになるんだろう。

マチに対する振る舞いが、とても丁寧なものに感じて、ずっと妬いていたんだ。
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