別れさせ屋に依頼をした私の結末
「っ、あれは約束じゃ……! 喧嘩してるなら、仲直りできるように私も協力するよ!」

マチは身を乗り出して、真剣に言ってくる。

確かに、あれは約束じゃない。でも、あの言葉から、お互いに、恋の話を避けるようになったのは事実だ。

「だから、何があったのか話してほしいの。一体、今……岡垣くんとはどういう状態なの?」

マチらしい、親身な言葉。

本当に心配してくれているのかもしれない。

だけど、

「……言いたくない」

私は言った後のことを想像してしまう。

ダメになっているとわかれば、マチは喜ぶんじゃないのかと考えてしまうの。

私たちの心配をしながら、心の奥底では期待するんじゃないの? 私たちがダメになれば、今度は私が……と。

私がマチの立場なら、きっと、そう考える。

マチのことを本当に心配していたとしても、ふたりが別れた後で、状況が落ちつけば、今度は自分の番だなと期待するはずだ。

そんなふうに思われたくない。

だって、私はまだ……。

「寺尾たちには言えるのに……?」

マチの言葉が、するどく胸に刺さる。

「……」

ここでその名前を出されると、必然と、昨日言われたことを思い出す。

“岡垣くんが可哀想だよ”

昼休みが終わる時間、教室にいたマチは、寺尾たちと屋上から戻った私の姿を見ていたはずだ。

……そうだね。結局、私はずるい。

昨日、マチからああ言われたのに、寺尾たちとボーリングをしていた。今日のお昼だって一緒にいた。

こんなの、彼氏である大樹からすれば嫌なことだよね。

そんな行動をする私より、大樹を気遣えているマチのほうが、彼女に向いてるってわかってる。

わかってるけど……。
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