別れさせ屋に依頼をした私の結末
──放課後になって、男子バレー部の部室があるプレハブまで行くと、部屋の前にはフロアブラシが数本立てかけられていて、水が入ったバケツが入口付近に置かれている。

中から出てくる部員たちからの視線を感じつつ、そうっと中を覗いてみたら……。

「あ、すぐ終わるから待ってて」

私が来たことにすぐ気づいた大樹が、明るく微笑みかけてくる。

顔を合わせるのは久しぶりだというのに、離れていたことを忘れてしまうほど、これまでと変わらない自然な笑顔だった。

部員全員での掃除だからか、散らかっていた室内は一気に片付いて、約5分ほどで大樹が出てくる。

戸締りを頼んでいるようで、大樹は最後のひとりに礼を言ってから、私のそばに来た。

「行こっか」

そう言って歩き出す大樹は、自分が部の主将に選ばれたことをいちばんに話し始めた。

「俺って、ひとをまとめるの苦手なほうだしさ。最初は、自分には主将なんて無理だって焦ってたんだけど……。でも、先輩は相談にのってくれるし、みんなも手伝ってくれるから、何とかできてるかな」

真面目な大樹らしい考え方。

静かに話を聞く私は、落ち着いてからその報告を聞くことになったことを、申し訳なく思っていた。
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