別れさせ屋に依頼をした私の結末
校舎に入って、靴箱がある正面玄関のフロアまでの廊下を歩く。
会話が途切れないのは、多分、大樹が気遣ってくれているからだ。
間を置かないよう、続けて話を振ってくれているのに、私はうまく話すことが出来なくて、相づちをうつだけになっている。
この後、遊園地で自分がしたことを打ち明けるつもりでいるから、“いつも通り”なんてできなかった。
だけど、最後の曲がり角を過ぎたところで、大樹の口数が急に減る。
間もなくして、「あれって」とつぶやかれたことで、私もその視線をたどり、靴箱の前にいる人影に注目した。
「っ、え……」
それは目を疑ってしまう光景。
ふたりの男女が顔を近づけ、キスをしているのだけれど、こちらに背を向けていた女生徒の後ろ姿には見覚えがあったからだ。
……マチ?
似ていると半信半疑で見ていたのだけれど、距離を縮めると、それは彼女本人だと確信する。
「水城?」
フロアに着いた瞬間、大樹が声をかけた。
それに反応して、体を曲げて彼女に顔を寄せていた長身の男子が、姿勢をただしていく。
彼女はゆっくり振り向くと、
「っ、美奈……」
私に目を向け、大きく動揺する。
会話が途切れないのは、多分、大樹が気遣ってくれているからだ。
間を置かないよう、続けて話を振ってくれているのに、私はうまく話すことが出来なくて、相づちをうつだけになっている。
この後、遊園地で自分がしたことを打ち明けるつもりでいるから、“いつも通り”なんてできなかった。
だけど、最後の曲がり角を過ぎたところで、大樹の口数が急に減る。
間もなくして、「あれって」とつぶやかれたことで、私もその視線をたどり、靴箱の前にいる人影に注目した。
「っ、え……」
それは目を疑ってしまう光景。
ふたりの男女が顔を近づけ、キスをしているのだけれど、こちらに背を向けていた女生徒の後ろ姿には見覚えがあったからだ。
……マチ?
似ていると半信半疑で見ていたのだけれど、距離を縮めると、それは彼女本人だと確信する。
「水城?」
フロアに着いた瞬間、大樹が声をかけた。
それに反応して、体を曲げて彼女に顔を寄せていた長身の男子が、姿勢をただしていく。
彼女はゆっくり振り向くと、
「っ、美奈……」
私に目を向け、大きく動揺する。