別れさせ屋に依頼をした私の結末
Card 04 ♣︎ カコノキモチ
トイレの手洗い場で、濡れた手をハンドタオルで拭きながら、鏡の中の自分を見つめる。
重ねたのは1年前の私の姿。
あの頃も、こうやってよく鏡を見ていた。毛先が肩にかからない髪の長さに、もどかしさを感じながら。
“ポニーテール似合ってる”
さっき言われた言葉、あの頃の私なら飛び跳ねて喜んでいただろう。
当時は、好きな人も誰かに恋をするなんて考える余裕もないくらい、自分の気持ちしか見えていなかったのだから。
──昨年の私は、岡垣くんに恋をしていた。
2学期になって間もない日の席替えで、隣同士になった私たち。
「も~ズルい! また窓際? 今度は1番後ろだなんて。マチの運のよさ、本当にスゴすぎるぅ……」
席を移してから迎えた休憩時間、真っ先にと私の席へ歩み寄ってきた美奈は、プクッと頬を膨らませて羨ましがっていた。
重ねたのは1年前の私の姿。
あの頃も、こうやってよく鏡を見ていた。毛先が肩にかからない髪の長さに、もどかしさを感じながら。
“ポニーテール似合ってる”
さっき言われた言葉、あの頃の私なら飛び跳ねて喜んでいただろう。
当時は、好きな人も誰かに恋をするなんて考える余裕もないくらい、自分の気持ちしか見えていなかったのだから。
──昨年の私は、岡垣くんに恋をしていた。
2学期になって間もない日の席替えで、隣同士になった私たち。
「も~ズルい! また窓際? 今度は1番後ろだなんて。マチの運のよさ、本当にスゴすぎるぅ……」
席を移してから迎えた休憩時間、真っ先にと私の席へ歩み寄ってきた美奈は、プクッと頬を膨らませて羨ましがっていた。