別れさせ屋に依頼をした私の結末
「私は美奈のほうがスゴいと思うけど」
「……う」
「連続で同じ席ってそうそうないよ」
「もう……本当最悪。代わってよ、マチぃ」
真ん中の列の1番前。教卓のそばから移動できなかった彼女。
うなだれる様子が面白くて、私はからかうような言葉を囁いていた。
その時だった。
「ぶっ」
隣の席で静かにスマートフォンを触っていたはずの岡垣くんが、突然、ふきだすように笑ったんだ。
「……」
「……」
急にどうしたのかと話すのをやめて岡垣くんを見ると、彼は口を手でふさぎながら申し訳なさそうに言う。
「ご、ごめん。さっき、みんなが席を移動しているとき、松山だけ座りっぱだったのを思い出して」
ククッと喉を鳴らし、控えめに笑っていた。
彼の言葉でその時の様子を思い出した私は、「ぷっ」と同じように吹き出してしまい、ふたりに笑われたことで、美奈はますます悔しそうな表情を浮かべていた。