別れさせ屋に依頼をした私の結末
「もう! 岡垣だって、前回は1番前だったでしょ!」
「俺は廊下側だったけどね」
「廊下側1番前から窓際2列目の1番後ろか……クジで決まったとはいえ大出世だね、岡垣くん」
「だな。俺も水城も大当たり。ここなら居眠りもこけるわ。朝早いから昼とか眠いんだよ~」
「岡垣くんってバレー部だっけ?」
「そう。毎日朝練!」
「もー! ふたりで楽しそうにしないで! 窓際が羨ましい!!」
会話に入ってくるのがあまりにも自然だったし、私と違ってコミュ力が高い美奈もいたことで、私は話したことがなかった人との会話に全然緊張しなかった。
チャイムが鳴って、美奈が1番前の席に戻ったとき、
「これからよろしくな」
岡垣くんは柔らかな笑みを向けてくる。
――これをきっかけに、私と美奈は岡垣くんと話す仲になっていった。
それまで、私には男の子の友だちなんていなかった。
休憩時間で騒ぐ男子たちのことを少し苦手に思っていたのだけれど、岡垣くんは物腰が柔らかくて、席に遊びに来た男子と話すときも、聞き役に回っていることが多かった。
聞き上手で、話すと話題も豊富で面白く、美奈を入れて話す時は漫才みたいな掛け合いにもなるので、それも楽しかった。