別れさせ屋に依頼をした私の結末
休憩時間の笑顔、チャイムが鳴ってから先生が来るまでの間に聞くバレーボールの話、授業中に眺めた気持ちよさそうな寝顔。
好きになるまで、そんなに時間はかからなかった。
けれど、自分が恋をしていることに気づいてからは――
「49点? あの席にいて49点って……松山、授業中何してんの?」
「勉強をしてます! そっちだって変わらないじゃん! 52点でしょ!」
「いや、この3点差は大きい。俺は半分の50点を超えてるから。松山は超えてない」
「変わんないから!!」
返ってきたテストの答案用紙を照らし合わせて、点数で張り合っていたふたりに複雑な感情を抱き――
「あ、数学は大樹のほうが下じゃん!」
いつのまにか岡垣くんのことを下の名前で呼ぶようになった美奈に嫉妬していたり――
「俺、数字を見ると頭痛がするんだよ……水城は何点だったの?」
美奈と話す時は生き生きしているのに、私に話しかける時のテンションはいつも落ち着いている。その違いには落ち込んだし、
「……んー、どれも大体60から70点かな」
「そ、そっか」
長く会話も続かないから、私と話していても岡垣くんはつまらないのかもしれない。そう悩むことが多かった。