別れさせ屋に依頼をした私の結末
Card 05 ♠︎ ウラノカオ
10月に入ってから曇りや雨のぐずついた天気が続いていたけれど、今日は久しぶりの晴れ。まるで中間テストを終えた私たち生徒の気持ちがそのまま表されているみたいだ。
別れさせ屋に依頼して15日が経った。いまだ状況はひとつも変化していない。
放課後、職員室まで日誌を届けに行った日直の美奈を待つ間、私はSNSのアプリを開いて眉間にしわを寄せる。
「どうなってんの……連絡ないし」
DMで連絡する。そう言われたから、スマートフォンに通知がなくても毎日数回はアプリを起動しているのに、何も音沙汰がないまま2週間。
本当に動いてくれているのか不安になってくる。
「……依頼料のことも聞きたいのに」
あの日、ババ抜きに勝てた私は、ターゲットについて話をした。
――美奈には彼氏がいること。それなのに最近は彼氏と過ごさず、代わりにクラスメイトの寺尾と過ごすようになっていること。
私は彼氏の岡垣くんとも友達だから、ふたりが元通りになるのを願っているってことや、自分なりに動きたいのだけれど、美奈とはそういった話をしづらい関係だということも。
簡単な説明だったが、伝えれば、別れさせ屋からの意見みたいなものはもらえるだろうと思っていた。けれど、キングは「りょ~かい」と言って、うなずくだけで席を立ったのだ。
「あ、依頼したことは他言しないように。経過報告はDMで送るから。以上」
私を置いて図書室から去ろうとする彼からの、最後の言葉。
あっさりした対応にがっかりする私は、聞くつもりでいた依頼料の話もできなかったことにため息をつきながら下校した。