別れさせ屋に依頼をした私の結末
「あ……俺らも言えばよかったな。ま、松山、今日日直で忙しかったと思うし!」

私が怒っていることに気づいたのだろう。並木は伝えていなかった美奈のフォローをし始める。

「帰る」

「待って待って!」

席を立ったのだけれど、背負おうとしていたリュックを抑えられ、帰るのをはばまれた。

邪魔をされたことで、美奈に対しての怒りは並木に向いてしまい、私の目つきは睨むようになっているはずだ。

「あー……水城さ、誤解してると思う」

「何を?」

「寺尾と松山のこと。……あいつらそんな関係じゃないしさ」

並木は私のリュックの上に手を添えたまま、ぎこちなく言葉をつなげてくる。

「寺尾は……その、松山に彼氏がいることもわかってるし。悪い奴じゃないんだよ、あいつ」

そんなことを言われても、全然響かない。

現に、美奈がやっていることは浮ついた行動だし、彼氏の岡垣くんは不安になっているはずで。悪い奴じゃないなら、彼氏がいる女子とここまで一緒に過ごすだろうか。

「1回さ、俺たち話したほうがいいよ……松山とも。色々誤解もあると思うから」

何を話すことがあるのだろう。私に理解を求めるつもりなのだろうか。

聞く耳を持てず、リュックを引いて並木の手を振り払ったその瞬間、教室のスピーカーからマイクを調整する音がした。
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