別れさせ屋に依頼をした私の結末
「髪の毛の色が明るい男の子、見なかった?」
「……」
突然現れて突拍子もないことを言われたのだから、反応が遅れるのは仕方ないことだ。
そうわかってはいるけれど、すぐに返事をもらいたくて、言葉を付け足してしまう。
「金髪って言うか、白っぽい髪の色。背が高くて、綺麗な顔の!」
髪の毛を染めたことがなさそうな黒髪の彼に、プラチナブロンドと言ってもきっと伝わらない。そう思ってわかりやすい言い方で伝えてみる。
「……さぁ」
相変わらず小さな声。
相良くんはよくわからないというかのように首を傾げている。
「そっか」
校内放送を聞いて、ここに来ればいるのかもしれないと期待したのだけれど、どうやら今日は来ていないみたいだ。
仕方ない、DMで連絡してみよう。そう思って、引き返そうとした瞬間、
「わっ……」
「うわぁ!」
貸し出しカウンターにいた図書委員たちが慌てた声を上げた。
うなり声のような風の音と共に、私の髪の毛がふわっと浮き上がる。
なびいたスカートを抑えて窓際を見ると、図書委員が慌てて窓を閉めていた。
床に散らばった数枚の書類。その1枚は、すべるようにして私たちの足元にまで飛ばされてくる。