別れさせ屋に依頼をした私の結末
黒髪だけれど、インナーカラーが同じ色。
「――え」
猫背だけど、細身だし、身長の高さは似ているかもしれない。
小さな声で聞きとりづらいけれど、確か、相良くんの声も少しハスキーがかっていたような……。
「え、相良くんって……」
もしかしてと考えた瞬間から、私の心臓はバクバクと大きく波を打ち始める。
「キング、だったり……する?」
恐る恐る、その名前を口にすると、髪を掴んだまま一点を見つめていた彼は、深くため息をついた。
そして、髪を掴んでいた手をそのまま振り下ろす。
「っ!?」
手と一緒にはがれた、黒髪。
はっきり見えたその顔は、思った通り、2週間前に会った人物と同じだった。
「えっ、それウィッグなの!?」
驚きを隠せず、思わず大きな声で問いかけてしまうと、彼はその猫背な姿勢まで正し、けだるい態度で不愛想につぶやく。
「あーあ。ばれたかー」